「観ている人を楽しませるプレーをしたい」 3×3の魅力に取りつかれた男が チーム一丸となって日本一を目指す ー#5 西畝 優ー

ひとたび空中に飛び出すと、驚異的な滞空時間を生かしてシュートを決める。ドライブされないようにディフェンスが内を固めると、外からズバッと2ポイントを稼ぎ出す。今シーズン、チームの得点源として大車輪の活躍を見せるのが西畝優だ。6月のPREMIER Round.3では9本もの2Pを決めて会場を沸かせた。コートを縦横無尽に飛び回る西畝選手の原動力とは?

「1対1の時間に自分をめちゃくちゃ表現できるのが3×3の魅力」

——2021年秋からTOKYO DIMEの一員としてプレーをされている西畝優選手。高い身体能力とシュート力で、今シーズンのチームの主軸となっています。西畝選手は、いつからバスケットボールを始めたのですか?

小学校3年生からです。1歳上の兄がバスケットボールをやっていたので、その影響で始めました。元々、学校の休み時間に身体を動かすことは大好きだったので、バスケットボールを始めたころは楽しかったですね。でも、中学校のときに少し人間関係で悩んだこともあって一度辞めてしまいました。

——高校でまたバスケットボールの世界に戻ってこられました。

はい、地元の公立高校だったんですけど、そこは特にスポーツに力を入れている、ということもなくて、大会でも初戦で勝てれば良いくらいのレベルです。だから、みんなで楽しくバスケットボールをする、という感じのチームだったので、またバスケットボールが楽しいと思えるようになりました。

——大学進学後から、3人制に魅了されたと伺いました。

近くのレンタルできるバスケットボールットボールコートで、月1回、3×3の試合がありました。それを友達と観に行ったんですけど、すごく衝撃を受けました。ハーフコートのバスケットボールってめっちゃ面白いやん!ってなって。そこから一気にハマっていきました。

——西畝選手がそれほど衝撃を受けた、3人制の面白さについて教えてください。

3人制でもチームワークはもちろん必要ですけど、5人制よりも1on1の時間も必然的に増えるので、そこで自分をめちゃくちゃ表現できるというか。そういう部分が自分に向いていると感じました。

——3on3、そして3×3のプロの世界へと進んできました。大学時代とプロになった今とでは、何かプレースタイルに違いはありますか。

最初は個人技を重視していましたけど、チームを勝たせるにはどうしたら良いか、に重きを置くようになりました。今まではあまり戦略とかを考えず、その場その場で個人技で対応することが多かったんですけど、TOKYO DIMEに所属してからは、相手チームのスカウティングをしたり、チームでどう戦うかのミーティングをしたり、考えてプレーする時間が増えました。ときには練習中にチームメイトたちと意見がぶつかり合うこともありますけど、これがプロという世界なんだ、と実感しています。

「相手が先に落ちてからシュートを打つ」

——西畝選手と言えば、『空中音痴』と呼ばれるほどのジャンプ力が代名詞ですが、昔からフィジカルは強かったんですか?

そうですね、ジャンプ力は、ありがたいことに自然と強くなってきました。結構昔から強かったと思います。

——滞空時間もかなり長いですよね。

そうですね、相手選手のほうが先に落ちてきているな、というのは感じます。それが分かってからは、飛び方を変えてみたり、相手が先に落ちてからシュートするとか、少しずつ攻撃スタイルも変わっていきました。

——さらに今シーズンに入ってからは、2Pシュートも非常に好調ですね。

実は、昔はシュートがめちゃくちゃ苦手だったんですよ。ただ、シュートがもっとうまくなれば、持ち味のドライブをもっと生かすことができるんじゃないか、とも考えていました。それもあって、シュート練習はずっと継続してやってきていたので、それが今年に実を結びました。

——苦手なシュートをどうやって克服されたのでしょうか?

試合中に、入らなくてもとにかくシュートを打ち続けてきました。チームからすれば迷惑だったかもしれませんけど(笑)。すると、実践で打つシュートの感覚がだんだん分かってきたんです。それに加えて、僕のストリートバスケットボールのチームメイトにシュートがうまい選手がいて、その人にシュートのコツを教えてもらってから、一気にうまくなっていきました。

——どんなコツだったんですか?

よく言われている言葉だと思うんですけど、『左手は、添えるだけ』です。左手を全く動かさず、右手だけでリリースするんです。左手が少しでも右手の邪魔をしてしまうと、シュートは真っすぐに飛ばない。右手だけでリリースすることを意識して練習していたら、だんだん真っすぐにボールを飛ばせるようになりました。あとは、リングまでの前後の距離感をあわせるだけ。その距離感を掴み始めてたので、練習だけではなく、試合でも2Pが決まるようになりました。

——先にもお話いただきましたが、練習することはもちろんですけど、試合でもどんどんシュートを打って、数をこなすことが大事なのですね。

やっぱり練習と試合では、相手ディフェンスの圧力が違います。本気で向かってくる相手に対して、こっちも本気で打つ。この数をこなさなすことが大事だと思います。

「試合に負けたときは、絶対に人のせいにしない」

——あらためて、西畝選手がバスケットボールをするうえで、一番大事にしていることはありますか?

試合に負けたときは、絶対に人のせいにしないことですね。他人がどうだった、ではなく、自分のこういうところが悪かったから負けた、自分がこういうプレーができなかったから負けた、と、自分に矢印を向けるんです。そうすれば、次の試合に向けた課題も明確になるので、また頑張ろうって思えるんです。

——反対に、勝ったときはどう考えるのですか?

勝ったときは、個人じゃなくてチームが良かったから勝てた、と考えますね。勝ったとしても、試合内容が悪いときもあります。でも、今度はそれがチームとしての課題になる。チーム全員でその課題に取り組めば、必ず次につながりますから。

——TOKYO DIMEでプレーを始めて3年が経ちました。TOKYO DIMEは、どんなチームですか?

自分を成長させてくれるチームですね。ベテランの選手たちからアドバイスもいただくので、常に勉強させてもらっています。それに、みんな練習のときからほぼ試合のような熱量でプレーをしています。この熱量で毎日バスケットボールができるチームって、TOKYO DIMEだけだと思います。オンコートでは激しく、オフコートではみんな優しくて仲が良い、という感じです。練習が終わったら、みんなでご飯に行くこともあります。オフコートでのコミュニケーションはすごく大事だと思っているので、そういう面でもTOKYO DIMEはチーム力があるんだと思います。
それと、TOKYO DIMEは応援してくれるファンやスポンサーさんが本当に多いと感じています。安藤さん(ユニフォームスポンサーである安藤不動産(株)代表取締役社長 安藤秀基さん)には、本当にお世話になりっぱなしです…!

——西畝選手は今関西に住んでいらっしゃっると伺いました。その際、チームを支えてくれている安藤社長と道すがら一緒になることもあるそうですね。

はい、新幹線でよくご一緒させていただきます。そのときは試合の反省会というか、本当に良くバスケットボールを知っておられるので、まるで解説者のようにこと細かく話をしてくださいます。こういうシチュエーションのときはこうしたら良かったんじゃないか、もっとこういうプレーをしたらどうか、など。本当に勉強にもなりますし、楽しい時間です。どれだけ試合会場が遠くても、時間があれば必ず脚を運んでくださいますし、本当に感謝しています。TOKYO DIMEのことを本当に自分の子どものように支えてくれています。

——もうチームの一員ですね。

はい、そうですね。安藤不動産さんを始め、スポンサードして支えてくださっている方々全員がTOKYO DIMEの一員で、一緒に戦っていると思っています。だからこそ期待には応えたいですし、勝った姿を見せて喜んでもらいたいんです。

——安藤不動産さんは、応援用のうちわも作ってくださっていると伺っています。今年は、西畝選手のうちわがすでに売り切れになってしまったとか……。

ホンマですか?それはめっちゃうれしいですね!応援してくれている皆さんの期待に、もっと応えられるように頑張ります!

——ファンやスポンサーの方々に、どんな姿を観てもらいたいですか?

点を獲るところですかね。ゲームメイクは、正直苦手なところもあるんですけど、僕は点獲り屋でもあるので、そこを観てもらって楽しんでもらいたいですね。

——西畝選手のプレーは、どこか人を元気にさせるというか、ワクワクさせてくれます。

以前、プレーを観ていた方に『ほかの選手と違うから見ていて楽しい』という言葉をもらえました。すごくうれしかったですし、自分プレーって人を楽しくさせるのかな、って思ったので、そういう部分は少し意識してプレーをしています。

——ありがとうございます。好調の今シーズン、これからの目標を聞かせてください。

『日本一になること』。これが、個人としてもチームとしても共通の目標です。そのために、ほかのチームのプレーを観て研究して、それをチームに還元できるようにしていきたい。あとは、チームメイトたちともう一度、海外の試合でプレーをすることが今シーズンの目標です。

——最後に、ファンの方々にメッセージをお願いします。

これからも日本一を目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします!

——ありがとうございました!

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