百戦錬磨のオールラウンダーが、DIMEに新たな風を吹かす―#91落合知也<Ochiai Tomoya>―

ストリートボール、3×3の世界でカリスマ的な存在感を放ってきた落合知也選手。『WORM』というニックネームに表される粘着性のあるプレーで、対峙する相手にとって常に脅威であり続けてきました。そんな落合選手が2019年シーズンより『TOKYO DIME』に加入。移籍にあたっての思いと3×3への矜持を聞きました。

©TOKYO DIME

3×3に対する本気度。それが一番重要だった

―2016年から3シーズンプレーした『BREX.EXE』から『TOKYO DIME』へ移籍。決め手は“熱量”だったという。

「移籍にあたっては、3×3に対して本気で向き合える環境があるかどうかということを最も重視しました。中でも熱量が一番高かったのがDIMEだと感じたんです。このチームでプレーすることで僕自身の3×3への思いやプレイヤーとしての価値を更に上げることができるんじゃないか、と。それが(移籍の)決め手でしたね。

(2017年の)オリンピック種目採用をきっかけに、3×3に熱を入れる人たちも多くいると思うのですが、DIMEに関してはまた違った視点を持っている。オリンピックに選手を送り出すことも大切ですが、『WORLD TOUR』という世界最高峰の舞台において、ファイナルで優勝するという目標を、オーナーの岡田(優介)さんは掲げているんです。そんなところから3×3に対する“本気度”が高いと思っていて。それは、他チームにいる頃から感じていたことで、だからこそ、DIMEの一員になれたことを誇りに思います」

Photo:Naoto Yoshida


―法政大学ではインターカレッジ(全日本大学選手権)準優勝など実績を残し、卒業後、ほどなくストリートボールの世界へ。3×3は『3×3.EXE PREMIER』創設以前からプレーし、2014年からは日本代表の中心選手でもある。鈴木慶太(#7)や小松昌弘(#70)ともしのぎを削ってきた間柄だ。

「鈴木、小松は昔から知っている仲です。彼らが所属していることも移籍の理由の一つですね。僕自身もPREMIERリーグ創設初年度からプレーしているので、DIMEにとってみれば本当にウザい選手だったと思います(笑)。敵でありライバルであり、毎回しのぎを削り合う関係でした。

これまでも、PREMIERとは別にプロサーキットでは『TEAM TOKYO』として鈴木、小松とともに戦ってはいたのですが、僕自身がPREMIERでは他チーム(BREX)に所属していたので、年間を通して同じメンバーでプレーをすることが難しい状況でした。僕がDIMEに加入することで、PREMIERでもプロサーキットでも同じ顔ぶれで試合に臨むことができる。結果として選手間の連携の練度もチーム力も向上して、結果が付いてくるのではないかと期待しています」

心身のタフネスを武器に、志向はデニス・ロッドマン

―強みは強靭なフィジカルで相手チームのキーマンを抑え込むプレーだが、任される役割の幅は広い。

「相手の一番大きな選手やスコアラーを抑えるという役目を任されることが多いのですが、もちろん、得点やリバウンド面で中心になることもあります。オールラウンダーとしての動きを求められていることは自分でも把握しているので、常に意識してプレーしていますね。

心がけていることは“泥臭さ”。バスケットボールは華麗なプレーに目が行きがちですが、勝つために不可欠なのは地味で泥臭いプレーだと思っていて。僕はコート上では『WORM(ワーム=虫)』というニックネームがあるのですが、昔、大学卒業後にストリートボールの世界に入った時に付けてもらいました。由来はデニス・ロッドマン(※1)。彼も同じあだ名だったんです。

僕自身、ロッドマンが好きでした。風貌はタトゥーやピアスだらけでイカついのですが、いざコートに入れば、率先して泥臭いプレーを披露して結果を出していく。自分もそういった選手になりたいという思いがあったんです」
※1:1980年代から90年代にかけて活躍したNBAプレイヤー。圧倒的なリバウンドセンスを武器に大きな存在感を放った。

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―自他ともに認める「気の強さ」は3×3プレイヤーの中でも群を抜く。

「負けん気の強さは誰にも負けないですよ。これに関しては群を抜いて一番だと思っています。ビッグマンやスキルの高い選手を相手にすると、どうしても萎縮してしまいがちなんですが、自分はまったく動じない。むしろ倒しにいく気持ちで向かっていきます。正直、“ルールのあるケンカ”だと思っているので。

自分でも理由はわかりませんが、コート上の自分は自分じゃないというか、人が変わるんですよね。気持ちの強さは、海外選手とマッチアップする時などは大事な要素だと思っているので、自分の強みだと自信を持って言えます。試合中に声をガンガン張り上げて気持ちを全面に押し出しているのは僕なんじゃないかな、と」

3×3は自分の人生を変えてくれた

―3×3誕生以前からストリートボールの世界で名を馳せていた落合だが、当初は遊びの延長線上でプレーしていた。

「大学卒業後、最初は趣味のつもりでやっていたのですが、『UNDERDOG』というストリートボールのチームに入ったことをきっかけに、意識が変わっていきました。大学までは与えられた環境の中でバスケをしてきましたが、自発的にプレーをすることが新鮮に感じたんです。「こんな世界があるのか」という思いでした。部活あがりだった自分にとっては、ストリートボールの世界なんてチャラチャラしていてプレーなんて大したことないだろうと思っていたんですが、実際に体感すればそんなことはなくて。

みんなバスケが大好きで、上手くなるために努力を惜しまない。負けたら心底悔しがる。次第に自分の中にも、他選手やファンの人たちに認めてもらいたいという思いが募っていったんです。それが後に3×3のコートで結果を出す原動力になっていったと思っています」

©TOKYO DIME


―2017年シーズンまではBリーグ1部のトップチーム『栃木ブレックス』の一員として5人制のコートにも立っていたが、2018年2月に退団。現在の生活は3×3中心に回っている。

「ブレックスで5人制と3×3を両立する中で、オリンピックでの3×3の実施が決まりました。その時に、自分の人生を変えてくれた3×3でオリンピックに出場することが一つの目標になったんです。そのためには、身体的にもゲームの日程的にも、(Bリーグとの)両立が難しいと考えるようになりました。

3×3と出会ったことで、バスケットボールプレイヤーとして一回りも二回りもスキルアップすることができたし、意識も変わりました。この競技をより多くの人に知ってもらいたい。自分のためだけではなく、3×3界のためにも、日本代表としてオリンピックに出場したいと思っています」

―TOKYO DIMEでのプレーを通じてバスケットボールブームに火を付けたいと話す。

「今、5人制のバスケは、Bリーグができて、日本代表の活躍(※2)もあり、盛り上がっていますよね。3×3も5人制に対して刺激を与えられるような存在であるべきだと思う。そのためには、DIMEでのプレーで結果を求め続けていくことが、一番の発信になると思っています」
※2:2019年2月、5人制バスケットボールの日本代表は13年ぶりにワールドカップの出場権を決めた

Photo:Naoto Yoshida

(Text:Naoto Yoshida)

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