「“魅せるバスケ”、それが私の信念」。3×3で生まれ変わったポイントゲッター―#19瀨﨑理奈<Sezaki Rina>―

中学生から実業団リーグまで5人制バスケットボールの第一線でプレーし、2018年2月に引退を表明した瀨﨑理奈選手は、フィールドを変え、新たな楽しさを見出しています。信念に据えるのは観客を沸かせる“魅せるバスケ”。5人制バスケの活躍を通じて磨き続けてきた得点感覚は、3×3の舞台でも健在です。

©TOKYO DIME


選手とコーチで二足のわらじ。相互作用でスキルを磨く

―5人制バスケの実業団リーグを引退後、2018年5月に『TOKYO DIME』に加入。現在は、拠点を出身地の福岡県に置き、月に1度チームのトレーニングに参加。福岡では子供向けのバスケットボールアカデミーでコーチとしても活動している。

「バスケットが好きなので、コーチとしても選手としてもやっている今が、程よいバランスで楽しいですね。子供向けのアカデミーなのですが、人に教えるには、まず自分ができないといけない。

私、周りから『(ボールの)ハンドリングがいいね』って言われたりもするんですけど、実はまとまった時間をとって練習をしたことがなかったんです。感覚でやっていたというか。だから、教えながら自分も練習したりして、今までで一番練習してるなって(笑)。

皆に上手になってほしい、活躍してほしい、という意識でやっていたら、自分も同じ気持ちになってきて、改めて、バスケが上手くなりたいな、と」

―自身のプレーに対する評価は「まだ精度が低い」という。

「シュートの精度、ポジショニングの精度、まだ課題が多いですね。3×3はショットクロックが短い分、5人制のバスケと比べてじっくりボールを回して試合を組み立てる余裕がない。そんな中、私がガードとしても、ポイントゲッターとしても、どうゲームメイクしていくかがカギなのですが、まだタフショット(※1)が多い印象です。

特にDIMEは私も含めて上背がないので、どうしてもミスマッチ(※2)に持ち込まれやすい。高さで負けてインサイドで得点されてしまうので、そこに対抗できるオフェンス力を磨いていくことがポイントだと考えています。ただ、3×3は5人制よりもアタックの頻度が圧倒的に多いので、点取り屋の自分としてはそこが魅力ですね」
※1:ディフェンスに厳しくチェックされている、あるいは体制を崩した状態で放つシュート
※2:身長差のある選手同士がマッチアップしている状態

Photo:Naoto Yoshida


中学、高校と育まれた点取り屋としての嗅覚

―バスケを始めた当初は、センターに憧れていた。次第に、ガード、フォワードへとシフトしていく。

「バスケを始めた場所は地元の小学校のチームなんですけど、見学に行った時に惹かれたのがセンターでした。大きな選手がステップを駆使してポストプレーを決めているのが凄くかっこよくて。いつか身長伸びたらセンターをやりたいな、と。でも、途中で(体格的に)無理だと気づいて、それからはずっとガード、フォワードです。

中学生の時のコーチが元々ガードでプレーされていた方で、『ガードとはこういうものだ』と凄く熱心に指導して下さって。ノールックパスとかも意識して練習していました。元々オフの少ない中学校でしたが、休みでも公園に行ってシュート練習したり、友達を巻き込んで1対1をしたり。本当にバスケが好きだったんです」

―中村学園女子高校ではインターハイ、国体で3位、拓殖大学ではインターカレッジ優勝、ユニバーシアード出場と第一線で活躍。2014年からWJBL(※3)の『東京羽田ヴィッキーズ』で4シーズンプレーした。

「大学時代の監督との出逢いが、今の私のプレースタイルにも繋がっています。私が大学1年生の時は、センター中心のチームだったんです。そのセンターも含めて4年生がごっそり卒業した時、監督が私のオフェンス力を買ってくれて。それからは、とにかく点数を獲ることに集中するようになりました。

実業団では、当初は(バスケを)続けるつもりはなかったんです。ただ、大学4年次に故障をしたこともあり、不完全燃焼でシーズンを終えてしまって。そこで、もう少しチャレンジをしてみようと気持ちが切り替わりました。まだやれる、まだやりたいと。
※3:日本の女子バスケットボールトップリーグ

実業団の羽田では、私が入団した年からチームの強化が始まったので、在籍時はなかなか勝ち星を上げられない時期が続いて。でも、地域密着というチームコンセプトから、選手自身で広報活動を行って、地道にスポンサーやファンを獲得していきました。お客さんに『また観たい』と思ってもらうには、魅力的な試合をしないといけない。その意識は、今、3×3のフィールドでも生きていますね」

©TOKYO DIME


―WJBLから引退を考えていた矢先に、TOKYO DIMEからオファーを受けた。

「熱心に誘って頂いて、自分が必要とされていることが凄く嬉しかったですね。当初は、プレーを継続する意思はありませんでしたが、まず1年だけやってみようと。

WJBLを引退するタイミングで『3×3.EXE PREMIER』女子カテゴリーができたのも、グッドタイミングでした。引退してからブランクがある状態だったら、また状況も違っていたかもしれませんし。

嬉しかったことは、3×3でバスケを続けるという時に、喜んでくれる方が大勢いたということです。その意味でもバスケをやってきて良かった、と。私を3×3に誘ってくれたTOKYO DIMEと、WJBL時代から変わらず応援してくれるファンの皆さまには、心から感謝しています」

プレー歴1年、「ようやく、3×3が分かってきました」

―3×3をプレーして1年。次第にコツを掴みつつある。

「ようやく、やり方が分かってきたという状態です。チームメイトとの連携にもだいぶ慣れてきました。5人制バスケと3×3は全く別の競技と言ってもいい程違う。(オーナーの)岡田(優介)さんや、男子チームの鈴木(慶太)さんにアドバイスを貰いつつも、今までは手探りの状態でした。それでも、勝ち負けを繰り返していく中で毎回課題を見定めつつ、少しずつ3×3を理解できているかな、と。まだ戦術の細かい部分は課題ばかりなんですが、競技が分かってきたというのが一歩かなと感じています。

(3×3は)奥が深い。思考の部分で(5人制バスケ)と共通している部分はあるのですが、まだまだ初心者ですね。突き詰めていけばより良い戦術、戦略があると思うし、考え続けていかないといけない。全く新しいことにチャレンジしているので、モチベーションは高いです」

―勝敗を意識し過ぎず、結果として勝てればいい。そんな思いを胸に、あくまでも自然体でプレーしていくつもりだ。

「語弊があるかもしれませんが、勝ちにこだわるというのが、あまり好きではないんです。結果として勝てればいいと思っていて。もちろん、一生懸命プレーはするのですが、私のモットーである、観客が『オッ』と沸くような“魅せるバスケ”ができたらいいな、と。観に来てくれたお客さんに『面白くない』と思われる試合はしてはいけないし、子供たちに『真似したい』と思わせるプレーを心がけていきたいですね」

Photo:Naoto Yoshida

 

(Text:Naoto Yoshida)

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